大判例

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東京高等裁判所 昭和48年(行ケ)70号 判決

一 請求の原因第一項および第二項の事実は、当事者間に争いがない。

二 そこで、本件審決の取消事由の有無について判断する。

(一) 原告は、本願商標、引用商標はともに既成語の結合からなる商標で、しかもそれら既成語はいずれも義務教育過程で習得され、それぞれ別の意味を有するものとして理解されているから、混同されることはない旨を主張する。しかし、一般に、簡易迅速を旨とする商取引の実際においては、文字が商標の構成要素である場合に、その文字の意味を考えることなく、その称呼によつてのみ取引が行われる場合が多いことにかんがみると、商標の観念の類否いかんにかかわらず、その商標が称呼上からみて他の商標と類似するものである以上、両者は誤認、混同を生ずるものとして、該商標の登録を拒絶すべきことはいうまでもない。このことは、本件におけるように欧文字および片仮名文字によつて構成される既成語の結合からなる両商標についても同様である。したがつて、本願商標が引用商標と別の意味で理解されていることを前提とする原告の上記主張は失当である。

(二) また、原告は、両商標を構成する既成語の二語はいずれも短い構成でアクセントもなく称呼されるのが普通であつて、審決のいうようなアクセントは生ぜず語尾音が弱く発音されることもない旨主張する。しかし、本願商標は「SUNRICH」であつて「SUN・RICH」ではなく、また引用商標も「SUNLIT」であつて「SUN・LIT」ではない。したがつて、「SUN・RICH」、「SUN・LIT」の場合はともかくとして、前者の「SUNRICH」、後者の「SUNLIT」を称呼するときは、第一音の「サ」と第三音の「リ」が強く発音され、語尾音が弱く発音されるのがむしろ普通であるというべきである。したがつて、両商標を構成する既成語の二語がアクセントもなく称呼されるのが普通であり、語尾音が弱く発音されることもないとの見解を前提とする原告の上記主張も失当である。

三 以上のとおり、本件審決には原告の主張するような違法はない。よつて、本件審決の取消を求める原告の本訴請求は理由がないから、これを棄却する。

〔編註〕 本件における審決理由の要点は左のとおりである。

本願商標は前記のとおりである。ところで、登録第二二四五八四号商標(以下「引用商標」という)は、ゴシツク体の「SUNLIT」の欧文字と、アンチツク体の「サンリツト」の片仮名文字とを二段に併記してなり、旧第一類化学品、薬剤及医療補助品を指定商品として、昭和五年三月二九日出願、同六年五月七日登録、同二六年三月三日および同四六年八月三〇日に商標権の存続期間更新登録がなされたものである。前記両商標の構成に徴し、これを称呼上においてみた場合、本願商標は「SUNRICH」の欧文字より「サンリツチ」、引用商標は「SUNLIT」の欧文字より「サンリツト」の称呼を生じ、それぞれ五音中「サンリツ」の四音を共通にし、末尾音において「チ」と「ト」の一音のみを異にするものである。しかしこれとて五〇音中「タ」の同行に属する近似音であることと相まつて、前者の「SUNRICH」、後者の「SUNLIT」を英語読みに称呼するときは、第一音の「サ」と特に促音「ツ」を伴う第三者の「リ」にアクセントがかかるので、促音「ツ」に続く末尾音の「チ」と「ト」は自然に弱く発音されるために(特にその相異なる母音の部分が)これを正確に聴別し難い点において、彼これ相紛らわしく誤認、混同を生ずるおそれあるものということができる。したがつて、ことさらに外観および観念の類否について論及するまでもなく、両商標は取引の実際において称呼上類似するものと認めるのを相当とする。

また、両商標に係る指定商品においても相牴触することが明らかであるから、本願商標は、商標法第四条第一項第一一号に該当するものとして、登録を許されない。

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